科目区分 | 専門科目 | 教職科目 | 理科 |
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単位数 | 1 | 選択・必修・自由 | 選択 |
授業形態 | 講義 | 主な使用言語 | 英語 |
開講時期 | Ⅲ | 履修登録システム | 使用する |
履修登録期間 | 2022/10/07~2022/10/28 | 履修取消期限 | 2022/11/18 |
プログラム名 | IS | BS | MS | DS | DGI |
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履修区分 | △ | ○ | △ | □ | ○ |
コア科目 | - | - | - | C | - |
履修方法 | ・修士論文研究又は特別課題研究を履修する場合は、序論科目、基盤科目及び専門科目から14単位以上履修すること。 ・課題研究を履修する場合は、序論科目、基盤科目及び専門科目から16単位以上履修すること。 |
担当責任教員 | 作村 諭一 |
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担当教員 | 作村諭一 |
教育目的/学修到達目標 | 【教育目的】 ゲノム研究がもたらした技術革新は21世紀に入り、システム生物学、合成生物学と新たな方向へと急速に展開されてきた。そこから生み出されるデータは生物学としての蓄積から医療、物質生産、環境保全など幅広い分野での応用技術へと急速な広がりをみせている。本科目ではデータサイエンスの枠組みで生物学の解明を目指す研究について俯瞰し、包括的に理解することを目標とする。 【学修到達目標】 1) バイオサイエンスにおけるデータサイエンスの利用例について説明、記述できる。 2) データサイエンスの解析手法について整理、議論ができる。 3) データサイエンスからの知識発見について俯瞰、表現できる。 4) データサイエンスの簡単な手法が扱える。 |
授業概要/指導方針 | 【授業概要/指導方針】 DNA配列、タンパク質、代謝物、文献、医療情報などのデータをデータサイエンスの手法を用いて解析する最新の研究について、学外研究者による講義を行う。具体的なデータソースの入手法、適用したアルゴリズム、可視化、得られた生物学的知見などを学ぶ。さらに今後のデータサイエンス応用の展望について考察する。 *****オンライン情報は配布資料として連絡します。***** 【授業時間外学修(予習・復習等)の目安】 各回毎に授業内で与えられたAssignmentの予習2時間 各回毎に復習2時間程度 |
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回数 | 日付 [時間] | 担当教員 | テーマ | 内容 |
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1 | 11/17 [4] | 黒田 真也(東京大学) | インスリン作用のシステム生物学 |
インスリン作用の「時間情報コード」:ボトムアップアプローチ シグナル伝達ネットワークの本質のひとつは、多彩な入力の情報を限られた種類の分子にコードすることにある。私たちは分子活性の時間パターンに入力情報がコードされることにより多彩な生理機能を制御する「時間情報コード」を提唱しており、この概念に基づいてインスリンシグナリングによる生体のホメオスタシスの解析を行っている。血中インスリンを例にとり、血中インスリンの時間情報がどのように下流のネットワークにより選択的に解読されているかを説明する。 インスリン作用のトランスオミクス:トップダウンアプローチ インスリン作用の全体像を章にするため、メタボロミクスやトランスクリプトミクスなどを統合したトランスオミクス計測を行い、正常マウスの肝臓ではアロステリック制御により、肥満マウスの肝臓では代償的に遺伝子発現により代謝を制御されることを見出した。(トップダウンアプローチ)。 本授業では、二つの異なるアプローチを用いたインスリン作用のシステム生物学の解析を題材に、時間パターンによる生体のホメオスタシスの原理に迫る。 |
2 | 11/18 [2] | 杉村 薫(東京大学)ONLINE | 多細胞秩序形成の力学 |
細胞が集団として動き、パターンを作ることは生き物の最も根幹的な性質の一つであり、その原理を解き明かすことで生命の本質に迫れると期待されます。興味深いのは、個々の細胞は全体が見えていないのに集団として秩序が形成されることです。逆に言えば、多細胞秩序形成が細胞にとって実現可能なタスクに落とし込まれていることが示唆されます。 多細胞秩序形成には様々な要素が働きますが、中でも鍵となるのが、変形や運動を駆動する機械的な力です。私たちの研究室では、機械的な力による多細胞秩序形成原理を解き明かすことを目指しています。この目的を達成するために、私たちは実験生物学と統計・データ解析、物理学を統合した学際的アプローチを採用しています。これまでに、見えない「力」を見える「かたち」からベイズ推定する手法の開発、力によるパターン形成の方向情報コーディングの発見、細胞の力感知・力抵抗の分子メカニズムの解明などの成果をあげてきました。本講義では、多細胞秩序形成の力学制御に関する私たちの研究について、未発表の最新の知見を含めて紹介します。 |
3 | 11/22 [2] | 小林 徹也(東京大学) | 細胞のダイナミクスを推測する:定量生物学とバイオインフォマティクスの接点 |
近年の生命科学において、シーケンス技術のシンポによって得られた様々なデータを解析する上でバイオインフォマティクスは不可欠な情報技術である。一方で、顕微鏡画像などから得られた定量的かつ動的なデータを解析し理解するためには、システム生物学や定量生物学などで発展してきた数理モデルの活用が求められる。この2つは一見似ていようで、研究としてはあまり直接的に関連はしてこなかった。しかし、1細胞RNAseqの技術の発展により、この2つの領域が重なりつつある。 本講義では特にその接点となるRNA velocityの技術に着目して、その技術的な基礎づけや近年の発展の話を行う。 |
4 | 11/25 [2] | 出口 真次(大阪大学) | メカニカルストレスへの適応 |
本講義では生命を物理的視点から眺めることの面白さを伝えたい。キーワードは環境への「適応」である。生体は常にストレスにさらされており、そのストレスにいかに適応するかが病的状態とならないための鍵となる。特に力学的なストレスを受けたときの細胞応答を例にとり、適応を達成するための必要条件、健康とは、進化の過程における適応とは何が異なるか、などについて時間のある限り関連したトピックスをいくつか取り上げる。特にデータサイエンスの観点からは、細胞の力学的適応を測るための細胞発生力推定方法について紹介する。これは単純に細胞の出す力を評価するだけでなく、生物学、とりわけシグナル伝達の考え方を理解していたからこそ、ドラッグスクリーニングに適用するものとしてうまく位置づけることのできたアイディアである。 |
5 | 12/1 [2] | 井上 康博(京都大学) | 形態形成の多細胞力学シミュレーション | 多細胞生物の器官の形は、その機能発現と深く関わっており、その形の成り立ち(形態形成)には、個々の細胞が生み出す力が重要な働きをしています。近年、形態形成を多細胞力学の数理モデルをもとに、計算機を用いたシミュレーションで解析できるようになってきました。本講義では、まず、多細胞力学の数理モデルの概要を説明し、次に、シミュレーションと実験との共同でどのような理解が可能になったのかを紹介します。最後に、受講生の皆さんと、現状の課題や今後の展望について議論したいと思います。 |
6 | 12/5 [2] | 豊島 有(東京大学)ONLINE | 線虫の全脳神経活動と行動の解析のための生物画像情報学 |
線虫は比較的少数の神経細胞からなる単純な神経系を持ち、互いの接続が全て明らかになっている、神経科学のモデル生物のひとつである。我々は線虫の全脳神経活動を一斉に観察する顕微鏡や画像処理手法を開発してきた。得られた全脳神経活動の時系列データを解析する方法についても触れる。 また線虫は塩や酸素に誘引される走性行動を示す。我々は線虫の姿勢を定量化し、行動のシミュレーションモデルを作成している。また、神経活動と行動解析を組み合わせて、神経活動がどのように行動を生み出すのかという謎に取り組んでいる。 こうした解析を通じて、データサイエンスを生物学へ適用することでどのような知見が得られるか紹介する。 |
7 | 12/7 [2] | 平島 剛志(シンガポール国立大学)ONLINE | 顕微鏡画像から読み解く細胞集団ダイナミクスの制御 | 顕微鏡画像は、生命現象に現れるダイナミクスを理解する上で欠かすことのできないデータとなります。現象の背後に潜む仕組みを明らかにするためには、画像データの解析を単独で計画するのでなく、顕微鏡イメージングやモデリングなどの他の研究過程と有機的に結びつけることが重要です。本講義では、細胞集団が生み出す協調的な運動や形態形成を題材にし、画像データの解析を通してどのように研究上の仮説を構築あるいは検証するのかというプロセスを紹介します。特に、データ解析によって得られた知見から数理モデルを構築し、現象の制御機構の理解を深める研究の流れに焦点を当てます。実験や理論に限らず、研究の現場で使えるヒントを提供します。 |
8 | 12/9 [2] | 近藤 洋平(自然科学研究機構)ONLINE | 統計的機械学習と数理モデリングによる顕微鏡動画の解析 | 生細胞の顕微鏡動画は、細胞内外で起こる様々な生化学・生物物理学プロセスに関する豊富な情報を含んでいる。しかし動画に写っているのは複雑な形態変化や分子動態であり、そこから人間に理解可能な形で知識を取り出すことは必ずしも容易ではない。そこで我々は、生物学的知識に基づいたシミュレーターを設計しそれを動画データを用いて学習することで、シグナル伝達系の生化学パラメータや細胞の力学特性を推定する手法を研究開発している。特に、深層学習の発展に伴ってデータ駆動的な非線形モデリングのための様々な技術が整備されたため、このようなアプローチが適用可能な生物学的現象は大きく拡大してきている。また、モデルが実際に生物学的に意味があるものを学習しているかどうかを調べるために、近年注目を集めている「解釈可能な・説明可能なAI」技術を援用する試みも進めている。具体例を通し、時間の許す限り様々な内容を紹介したい。 |
回数 | 日付 | 時間 | 講義室 | 備考 |
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1 | 11/17 | 4 | L12(BS) | |
2 | 11/18 | 2 | L12(BS) | Online only |
3 | 11/22 | 2 | L12(BS) | |
4 | 11/25 | 2 | L12(BS) | |
5 | 12/1 | 2 | L12(BS) | |
6 | 12/5 | 2 | L12(BS) | Online only |
7 | 12/7 | 2 | L12(BS) | Online only |
8 | 12/9 | 2 | L12(BS) | Online only |
テキスト | 特に指定しない。 |
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参考書 | 細胞の分子生物学 原書第5版(ニュートンプレス) Practical Bioinformatics (Garland Science) |
履修条件 | 特になし |
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オフィスアワー | Eメールで連絡の上、日時を決める |
成績評価の方法と基準 | 5段階(秀・優・良・可・不可)で評価する。 各回の内容をまとめたレポート(50%)と期末レポート(50%)の合計を基本として評価 ◆各回のレポートについて ・内容: 各回の講義の要点を短くまとめる(数行程度) ・提出先: report-d2b@dsc.naist.jp にメールで送付 ・メール名:「student ID_first name_last name_#」で統一 (例):123456_taro_naist_1 #は講義回数のこと ・レポート形式:メール本文内にテキストで記述 ・期限:講義後1週間以内(期限後の提出は減点)。 ・問い合わせ先:report-d2b@dsc.naist.jp ◆期末レポートについて: ・内容:少なくとも2つ以上の講義の内容に関連する研究をまとめる(図表込みA4用紙2枚程度)。 ・提出先:NAISTレポート提出システム(https://nrss.naist.jp) "データサイエンスによる生物学 / Biology with data science [ID:4134] ・ファイル名:「student ID_first name_last name」で統一 (例):123456_taro_naist ・レポート形式:WordからPDFに変換して提出 ・期限:最終回の講義後2週間以内(期限後の提出は減点)。 ・問い合わせ先:report-d2b@dsc.naist.jp |
関連科目 | データサイエンス基礎、デジタルグリーンプログラミング演習、デジタルグリーンデータ処理演習、データサイエンス論、バイオサイエンスにおける統計と数理、数理生命科学 |
関連学位 | 理学、工学、バイオサイエンス |
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